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コラム COLUMN

研修レポート

令和3年度 階層別研修 広報研修レポート 芸術文化活動拠点のSNS発信

 

 

令和3年度 階層別研修 広報研修 芸術文化活動拠点のSNS発信 ~SNSの利用の基礎・心構え・活用法~

 

2021年12月14日、若手・中堅の広報担当職員を対象とした広報研修「芸術文化活動拠点のSNS 発信~SNS の利用の基礎・心構え・活用法~」が実施されました。

今回の研修は(1)報道対応について、(2)SNSの活用についての講義及び財団施設の事例報告・研修参加者同士によるディスカッションの二部構成で行われ、雨の中、24名が参加。日頃活用しているSNSの危機管理や積極的な活用法について、事例と共に技術スキルを学びました。

  12月14日広報研修_当日配布レジュメ

 

 

最初に、広報・ACYグループ、鈴木慶子広報チームリーダーより、今回の研修の意図・実施の経緯の説明があり、第一部「報道対応について」松本事務局長の講義が始まりました。

 

第一部:報道対応について  講師:松本事務局長

松本事務局長

 

メディアの取材は、財団の事業や取り組みを広く市民に知っていただくための大切な機会です。そのため、対応が不十分で内容が正確に伝わらないと、公益的使命を持つ財団の運営にマイナスイメージを与えることにもなりかねませんと、取材対応の重要性についてお話されました。

具体的な注意点としては(1)取材意図を把握し事前準備を行う。(2)取材者はメディアの窓口であり、その先に読者や視聴者がいることを意識する。また、発言は財団の見解として理解されることを認識し対応する。(3)正しく理解してもらうために、正確でわかりやすい言葉で伝える。即答しづらい質問は後日返答するなどの対応を取る。(4)取材は複数で対応し、メモ等を残し情報を共有することで事後に繋げるという、4つのポイントを上げ、信頼性を高める報道対応をお願いしたいと語られました。

 

 

 

第二部(前半):SNSの活用について

「芸術文化活動拠点のSNS発信~SNSの利用の基礎・心構え・活用法~」 講師:比田井安浩 様(株式会社プラップジャパン)

 

比田井さん

 

二部の前半は株式会社プラップジャパンの比田井安浩さんを講師に招き、SNSの活用について講義です。

これまで幅広い分野のPR活動に携わり、現在は主に企業広報をはじめデジタルプロモーション、危機管理対応等を担当している比田井さんの講義は、3つのテーマに沿って進められました。

 

最初のテーマ「国内のSNSの現状」は、主要SNSの紹介と解説。文化・芸術に関連する項目としては、趣味・娯楽の情報収取に全世代の7割近くがインターネットを利用しているというデータが紹介され、拡散力、即時性、誰でも利用できるSNSの情報発信ツールとしての重要性が示されました。

研修会場

 

2つ目のテーマは炎上を中心とした「SNSの危機管理」。炎上発生までの流れ、炎上の発生要因や対応について学びます。

 

火種から炎上までは、フェーズ1(書き込み)、フェーズ2(拡散)、フェーズ3(まとめサイトによる記事化)フェーズ4(Webメディアが記事化)、フェーズ5(マスメディアによる報道)と5つのフェーズがあり、「フェーズ3になると止めようがない」ため、火種を発見したら速やかに所属の上長に連絡し、チームで対応して行くことが重要との説明がありました。6時間以内の初期対応が理想的で、終息後も1週間は経過観測が必要とのことでした。

 

発生要因としては、明らかな不正行為による「当然型」と、意見が別れ論争が拡大する「論争型」が紹介され、何が発端になるか判別しにくい論争型は、多様な価値観があることを認識し、問題になりやすい事案は避ける等、具体的な事例や注意点が挙げられました。

 

3つ目のテーマは「芸術文化施設のSNS活用」。講師自身がフォローしているアカウントの紹介でした。財団施設のSNS発信について取り上げ、参考となるポイントを紹介。最後にSNSの効果的な運用について「ターゲットを考える」「共感やリアクションを生む情報発信」等、具体的な事例を紹介し講義は終了しました。

研修会場

 

 

 

第二部(後半):SNSの活用について  財団施設で活発にSNSを利用している事例報告

二部(後半)の「財団施設で活発にSNSを利用している事例報告」は、横浜美術館経営管理グループの広報担当チームリーダー藤井聡子さんと広報・ACYグループ・担当リーダー里見有祐さんが発表を行いました。

 

藤井さん

 

横浜美術館の藤井さんはSNSの活用、休館中の活動、効果が高かった事例等、スライドを使いながら具体的な運用について発表。

横浜美術館は複数のメディアを運用し、全体でフォロワー数が約17万人。各メディアを情報の発信・保存と使い分け、運用に際してはフォロワーの維持とエンゲージメント率(投稿に反応したユーザーの割合)を重視。成功事例として、休館までのカウントダウン企画などを挙げ、共感を得られたことが反響に繋がったと分析していました。

また、SNSの運用に際し予算も人員も割けず通常業務のなかで対応してきたが、業務量や重要性について館内の理解を得ていくことは大切と提案。投稿の反応を確認し改善して行く、一方通行にならない、一定のフォロワー数を獲得するまで努力が必要と、指針となる課題を上げ報告を締め括りました。

 

 

里見さん

続いて広報・ACYグループの里見さんによる、施設以外の視点から見たメディア運営、SNS活用についてスライド・配布資料と共に報告が行われました。

WebマガジンとSNSの2つのツールを中心に話しが進められました。

まず、運営の全体像に関する説明があり、詳細として企画から取材・編集、発信までワンストップで行っている点の説明がありました。制作過程につては、編集会議の様子、パフォーマンス検証、SNS会議を並行して行っている他、結果についての検証やチーム内での意見交換に触れ、情報共有に努めている結果、投稿数やフォロワー数、インプレッション数(閲覧数)が示され、実績が上がっているとの報告がありました。

 

 

参加者同士で意見交換:グループトークと発表

グループトーク

意見交換では参加者がA~Eのグループに分かれ、テーマを決めて話し合った後、発表を行いました。各テーブルとも真剣かつ和やかに、時間ギリギリまで意見を交わしていました。各グループの発表は次のとおりです。

 

Aグループ

情報編集・発信についての不安に対しての改善策や対応について議論を交わした。

里見さん

 

Bグループ

複数のSNS間で同じ情報を流用する件やトーン&マナーについて話し合い、他の担当の話が聞けて気付くことも多く有意義でした。

小野寺さん

 

Cグループ

集客につながった事例や告知以外の投稿内容、投稿時間について意見交換を行い、動画や画像を使用して帰宅時間から夜の時間に投稿するのが効果的とのことです。

梅澤さん

 

Dグループ

3年に一度しかない横浜トリエンナーレのフォロワー確保・維持の施策や、コンテンツの活用について意見交換や苦労している点なども共感でき有意義でした。

大房さん

 

Eグループ

各自が抱える問題点についての話し合いやツールの具体的な操作方法について意見交換を行い、SNSは集客よりファンを増やすツールとの見解を示しました。

大野さん

 

研修の締め括りに、2021年12月に改めて策定した「ソーシャルメディア利用に関する指針」について広報・ACYグループの小泉千恵子さんより説明がありました。主な項目は、利用の心構えやトラブル発生時の対応等と、当日の研修とリンクする内容です。今後のメディア対応、SNSの積極活用に活かして欲しいと呼びかけていました。

 

最後に、研修を終えた方々から寄せられた感想を紹介します。

「今後の業務にも役立ちそう」「課題がよくわかり、現状を見直す機会になった」「専門的な話を聞けるのは貴重でした」等の他、「財団内での具体例は、とても参考になる」「ノウハウを共有でき、刺激になった」との声が聞かれました。全体を通しては「もっと深掘りして欲しい」「他の施設の方々と会う機会が少ないので、もっと意見を聞きたかった」等、次回の研修に反映させて行きたい要望も寄せられていました。

 

 


取材・文  田中 康
写真 中山 幾雄

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